公開: 2019年10月17日
更新: 2019年10月xx日
原子爆弾を一般市民が生活する市街地に投下し、数多くの犠牲者を出すことは、戦争状態においても非武装の市民を攻撃してはならないとする国際法に反すること、また、倫理的に考えても、そのような行為はナチス・ドイツがユダヤ人を大量虐殺したことと同じではないかと言う、国際的な世論が形成され、それを許した米国政府が非難される可能性があることをスティムソン補佐官は懸念したとされています。当時、東京などの市街地への無差別焼夷弾爆撃を実施していたため、そのことも合わせて、将来、問題になると考えていました。
トルーマン大統領は、都市への原子爆弾投下で、非戦闘員である女性や子供たちが犠牲になることは、人道上許されることではないと考えていたようです。日記や知人への個人的な手紙には、そのような人道上の問題を書いていました。原爆開発の責任者であったグローブス准将と、ホワイトハウスの責任者との間には、そのような意見の対立があり、政治的な問題がありました。グローブス准将は、戦後の軍のインタビューで、「大統領でも、一度始まった原子爆弾開発や原子爆弾の投下は止められない」と語りました。
NHK広島制作、原爆投下〜知られざる原爆投下作戦を追う、2017年1月14日放送(NHK BS1スペシャル)